洋蘭図鑑 ≫ カトレア交配種 ≫ Rlc.ゴールデンゼル 'レモンシフォン'
カトレア及び近縁属は、主に木に着生した状態や、岩に着生している状態ですごしています。
原産地では、想像以上に明るい日差しの場所に着生していることが多いので、置き場所を工夫しましょう。また、根は剥き出しの状態で木にへばり付いていますので、乾きと湿りの差をハッキリさせた水やりに気をつけましょう。
通年を通して、空気が動いている状態を好みますので、工夫してみてください。
「ゴールデンゼル‘レモンシフォン'」の育ち方
花が終わった春から新しい新芽が伸び始めます。10月頃までにシースを含めたバルブが完成します。
その頃に、再び今年の芽の脇から、さらに新芽が伸び始めます。
2回目の新芽の伸びは早く、温度にもよりますが、3〜5ヶ月の間に完成します。
温度が15℃位あると、最初の新芽の花が先に咲きますが、10〜12℃位で育てると、2回目の新芽の成長を待ち、同時に咲くことが多いです。
咲くとゴールデンゼル特有の甘い香りも充実して、エレガントな気分になります。
※栽培環境は各個人で違いますので、育ち方は上記の限りではありません。
多くのカトレアの仲間は、春や秋のように人間もすごしやすい気候を好みます。
温度管理で気をつけるところは、やはり冬期の最低温度になります。夜間、カトレアを管理している場所で、明け方の一番冷え込む時間帯が10℃くらいであれば栽培できますので、挑戦してみましょう。
春になり八重桜が咲き終わる頃になれば、野外での自然温度にも順応してきますので、昼夜を問わず外で栽培できます。
すべての季節において、鉢の中が乾いたらたっぷり水やりを行うことが基本となります。
新芽と新根が伸び始めた春頃から夏場にかけては、気温の上昇と共に乾燥が早くなってくるここと思います。さらに順調に成長を続ければ根の量も増えてきて、水分吸収量も増えてきますので水を与える回数も増えてくるはずです。この成長期には、乾燥させすぎないように注意して水やりしましょう。
極端な例ですが、鉢で栽培していても一日で乾けば毎日与えても良いでしょう。
秋から冬にかけては気温が下がってきますので、夏場から比べると水やりの間隔が少し伸びてくるようになります。夜間の温度が15℃を下回り始めると、乾きづらくなってきますので夏場と同じような間隔で行うと根腐れの原因となりますので、乾燥具合を確認しながら行いましょう。
冬になると室内での水やりとなりますが、基本は同じです。気をつけたいのは、室内の温度によって乾燥具合が変わってきますので、基本を守って乾いたら与えましょう。
この時期、つぼみが見え隠れするようになった場合、乾燥させすぎるとつぼみが黄色くなって落ちてしまうことがありますので、乾いたらすぐに与えるように心がけましょう。
<ワンポイント>オールシーズン共通
違う鉢サイズに対して同時に水やりを行った場合、小さな鉢から乾燥しますので、2回目以降は各鉢への水やりのタイミングがずれてきます。これをいつも同じタイミングで与えていると、サイズの大きな鉢ほど根腐れとなります。同じサイズの鉢同士を近くに置き、水やりをずらして行うことで防げますので試してみましょう。
春(夜温が15℃を超える頃)から秋は、日光の当たる風通しの良い戸外に置きましょう。目安は八重桜が咲き終わった頃です。
最初は戸外の日陰に出し、少しずつ慣らしてから十分な日光に当てるようにします。自然の風雨にさらされることで、茎や葉、根などが勢いよく伸び続けます。日差しが強くなってきたら、庭木の下などの風通しのよい場所に移してあげましょう(約35%の遮光下)。
6月の梅雨と9月の長雨の時期は、一時的に雨が当たらない場所に置きます。明け方の最低気温が平均して10℃以下になる頃には、戸外から室内の日の当たる場所に移動させます。
<ワンポイント>
カトレア類は日光が好きです。よく、花が咲かなくなった人の話を聞くと、ほとんどの方が一年中室内の窓辺に置いているようです。人間の目で明るく見えるところでも、カトレア類にとっては光線量が不足していることが考えられます。太陽と植物が直線でむすべるような場所へ置いてあげることが理想となります。
新芽が伸び始める4月から9月いっぱいまで置肥(油かす)を月に一回、液肥は9月いっぱいまで7日〜10日に1回の間隔で与えます。9月10月はリン酸分が多めの液肥を与えるようにします。秋以降、肥料は与えません。
戸外で栽培したり、多湿気味の栽培をすると軟腐病や他の病気になりやすくなりますので、定期的に総合殺菌剤を散布して予防を心がけましょう。特に、室内から戸外へ出したとき(逆も)、6月と9月の長雨の時期の周辺は病気になりやすいので、その前後には散布するように心がけましょう。
季節を問わず葉の裏や、花弁の裏側に白い粉状の虫や、茶色の半球状の虫がつくことがあります。これはカイガラムシですので市販の薬剤を、葉と植え込み材料に散布して退治しましょう。
特に室内で乾燥気味に栽培していると、葉の裏全体が白っぽくなることがあります。これはダニですので市販のダニ専用薬剤で退治しましょう。花の咲いている時期に発生すると、花持ちが悪くなる事があります。これは花の花粉をダニが食害していることが考えられます。
それらをそのままにしておくと株がだんだん衰弱してゆきますので、早期発見・早期治療が必要です。
植え替えに適した時期は、春になります。また、調子を崩した株などは、その都度行います。
■鉢増し作業
基本的に植物が健康で順調良く育っている場合は、株分けよりも鉢増しをオススメします。植物も生き物ですからカラダを切られたり根を傷めたりすることは良くありませんので。
そこで、植わっている鉢ギリギリまで大きくなった物は、一回り大きめの鉢へそのまま植え替えます。
■株分け作業
健康を害して調子が悪い物や、芽の出方が片寄ってしまい両側で成長した物、または大きくなりすぎた物などは株分けをして育てなおしましょう。この時、根の状態が悪い物は、植え込み材料を取り除き、黒く痛んだ古い根を切り取り、新しい植え込み材料で植えます。
植え替え直後1ヶ月間は、根が傷んでいるため5日〜1週間に一度のペースで水を葉・株全体に与え、1ヶ月も経つと新しい根が動き出しますので、徐々に水やりを増やしてゆきます。
日差しと水は植物にとって必要ですので、なるべく日差しにあたるようにしましょう。
「置き場所」での<ワンポイント>にも書きましたが、太陽と植物が直線的にあたる場所に置くと良い結果となるでしょう。冬場、室内に入り込んでいた日光も、春を過ぎ夏になると室内には入ってこない事が多いと思います。これは、夏は太陽が高くなることが原因ですね。ご自宅の太陽の動きを今一度観察してみてください。
温度管理や水やりも重要ですが、一番気をつけることは光線量の確保だと思いますので、心当たりの方は置き場所を工夫してみてください。